慢性心膜炎

症状

慢性心膜炎(まんせいしんまくえん)においては痛みを発することはありませんが、体液が肺胞内へ流出するため、咳などの症状を示します。これは圧力が肺静脈内において上昇するためです。また疲労感なども示しますが、こちらは心膜障害に起因して心機能がうまく作用しないため、体のすみずみまで十分に血液を運べないことが原因となります。更に浮腫みが脚部に生じたり、腹水そして胸水なども引き起こすことがあります。尚、慢性滲出性心膜炎は基本的に心タンポナーデを惹起しないため、特に症状を示すことはありません。これは心膜がゆっくりと伸長していくことに起因しており、急激に伸長すれば心タンポナーデを惹起します。

原因

心膜肥厚及び体液貯留を心膜腔に引き起こす疾患であり、進行は緩やかで長期に渡って炎症が見られます。慢性滲出性心膜炎及び慢性収縮性心膜炎に分類され、前者は緩やかに心膜腔において体液貯留します。後者はあまり見られない疾患であり、長期間かかって心膜全域に線維化が認められる疾患です。また両者共その多くが原因を特定できませんが、地域によっては結核が原因となっているケースも見られます。

治療法

原因を特定できないケースが多いため、治癒するには心膜切除の手術のみとなります。ただし死亡のリスクも背負うことになります。慢性滲出性心膜炎では原因を特定できることもあり、そういったケースにおいては治療が行えます。薬物療法では利尿薬が用いられますが、これは水分の排泄を促進させるためです。また摂取する塩分調整も行います。