症状
穴痔(あなじ)において発熱及び痛みといった感覚は認められませんが、瘻孔から膿や便などが排出されます。このため、排泄口の周りにおいて不快感を生じさせます。ただし瘻孔部が閉鎖されることで腫れあがり、延いては痛みを発するケースも見られます。本症の経過は慢性のため、肛門周囲膿瘍と同じような症状は示しません。しかし、排泄部周囲は粘液物特有の違和感があり、一日中不快感を催します。診断は、S状結腸鏡検査などにて確定しますが、後者は瘻孔の原因を特定する鑑別に用いられます。
原因
肛門周囲膿瘍を発症した後、その膿が経由する瘻孔を生じる疾患です。初期では膿が蓄積する場所まで小窩より瘻管を形成し、加えて炎症が拡大することで、排泄口周囲に幾つかの出口を生じます。尚、穴痔は痔瘻(じろう)と言われています。
治療法
手術で切除による治療方法が基本となります。本症は自然治癒が稀なため、その多くが手術となります。治療を行わないと、癌化する危険性もあるので、早期の治療が望ましいとされます。また、排泄口の粘膜より比較的浅いところに発症する瘻孔(ろうこう)は手術で容易に閉鎖することが可能となっている一方で、それが深部にいたるケースでは時間も必要であり、閉鎖も困難とされています。尚、クローン病や下痢といった疾患が認められる場合は、手術が実施されないこともあります。これは術後の回復に時間を要するためです。