症状
心窩部痛、出血、下血、吐血などを生じます。また痛みを生じやすい条件は、胃潰瘍(いかいよう)で食物が胃中に存在する時となります。一方、十二指腸潰瘍(じゅうにしちょうかいよう)では胃中に何も入っていない時となります。胃潰瘍とは反対に食事をすることで痛みが緩和する傾向にあります。尚、組織に穿孔が発生すると腹膜炎を引き起こし、強烈な痛みを感じるようになりますので、こういった場合は手術適応となるため早急に設備の整った病因へ行く必要性があります。
原因
胃及び十二指腸において壁が損傷して欠損することが原因となります。この欠損は、胃に発生すると胃潰瘍と言い、十二指腸に生じると十二指腸潰瘍と言います。またこれらを総称して消化性潰瘍とも言います。冬に発症しやすい傾向があり、それも複数箇所に見られます。好発箇所は胃角部と球部で、後者は十二指腸の開始部分となります。胃癌に比較すると発症年齢も低くなります。胃の分泌する消化酵素はとても強力ですが、胃は自身を保護する胃粘膜によって自らをこの消化酵素から守っています。そのため、消化酵素が強すぎたり、胃粘膜などの防御機能が弱まったりするとそのバランスが崩壊し、潰瘍が発生すると考えられてきました。しかし近年では、消化酵素によって死滅しないヘリコバクター・ピロリ菌が胃粘膜に感染することで炎症を惹起し、潰瘍を発生させるのではないかと考えられています。特に慢性化して何度も再発する潰瘍に対しては有力な考え方となっています。
治療法
近年プロトンポンプ阻害薬などによって薬物療法が行われます。かつては手術による治療方法が主流でしたが現在では内科的療法へ移行しています。ただ、手術を要する場合では、内科的療法で止血できない、或いは壁に穿孔が見られ腹膜炎を引き起こしたケースなどがあげられます。