症状
肛門癌(こうもんがん)では痛みや狭窄などが直腸排泄口において発生します。また出血や排泄口の周りにおいて痒みを生じることもあります。ただ、中には症状を特に示さない方もおられ、こういったケースでは検診などで偶然発見される場合が多くなっています。
原因
癌が排泄口の縁及び管において生じることが原因となりますが、その詳細はハッキリ解明されていません。皮膚に発生する癌ですが、管の粘膜にも生じます。また、痔ろうが十年以上に渡って継続した結果生じる例も見られます。本症は扁平上皮癌であり、腺癌である大腸癌などとは異なります。近年、ヒトパピローマと呼ばれるウイルスが本症発症の要因として指摘されています。これは異性との関係などで生じる接触によって感染すると考えられており、中でも男性間における一定以上の接触に原因の焦点が当てられています。
治療法
直腸肛門切除術による治療方法がとられます。ただ本症においては便失禁の可能性が考えられるため、手術のみとする治療法はあまり行われません。これは括約筋と呼ばれる便を留まらせる働きを有する器官の働きが阻害されるためで、結果として便失禁を引き起こすこともあります。そのため、化学療法及び放射線療法を組み合わせて実施する治療法が一般的となっています。これらの方法で治療した後、更に再発を来たした場合、前にも増して広い範囲の摘出手術が実施されることになります。尚、診断は生検にて行われ、排泄口の組織が精査されます。