直腸脱

症状

直腸脱(ちょくちょうだつ)は排泄部から直腸が出しまう症状であり、排便時に見られます。直腸粘膜のみの脱出と直腸そのものが完全に脱出する場合があります。またS状結腸鏡検査、バリウム注腸X線検査などが行われて、原因を精査することもあります。

原因

排泄口外へ直腸が脱出する疾患であり、これは筋肉組織などが直腸を支えきれず、緩んでしまうことが原因となります。似たようなもので脱肛と呼ばれる病気がありますが、こちらは排便の際に肥大化した疣痔が排泄口の外側へ脱出してしまう病態です。本症は子供やお年寄りなどに多く見られる疾患であり、これは筋肉細胞が未熟或いは衰えて生じる現象です。多くは排便の際に引き起こされます。完全脱と不完全脱に分類されていて、前者は自然治癒することはなく筋肉と共に粘膜も脱出してしまいます。後者は直腸粘膜のみが脱出する症状であり、排便を終了すれば回復するケースが多くなっています。

治療法

排便時に力むのを控えることが重要です。便秘などがあれば、この傾向が非常に強いため、まず便秘を治すことも大切です。また直腸が脱出した際は、これを戻すために排便を終了して体位を変えます。通常、これで元に回復しますが、改善が見られない場合は直腸が出てきた部分に油を塗布し、ゆっくり押し込みます。手術による治療方法では、括約筋の補強が主な目的となります。これは本疾患が排泄口がもともと広いこと、直腸の筋肉が緩んでいることが発症理由とされているためで、排泄口の周りにビニール管などを入れる手術が実施されます。尚、子供の場合の直腸脱は適切な処置をすれば手術に至ることなく自然治癒する症例が多いと言われています。一方成人では正常に戻す手術が必要とされています。