横隔膜下腫瘍

症状

横隔膜下腫瘍(おうかくまくかしゅよう)では原発疾患の症状と共に、熱の上昇、またそれに伴う悪寒、背中における放散痛などが示されます。更に限局性の浮腫や肋骨弓下における反動性の痛みなども確認されます。検査では赤沈値の異常、白血球の増加などが示されます。また腹部単純X線写真ではガス貯留、胸水貯留、そして横隔膜の挙上などが確認されます。

原因

腹腔内の一部に炎症を引き起こし、膿瘍を作ることが原因となります。これは急性腹膜炎と同じ理由であり、限局的な急性腹膜炎と言い換えることができます。肝鎌膜下膿瘍によって横隔膜下腔は区切られ、本症はこの左右における空間に生じる膿瘍となります。また虫垂炎、胆のう炎、膵炎、十二指腸潰瘍穿孔などに続いて発症します。頻度は低いもの肋骨骨髄炎や縦隔炎に続いて見られるものや更に心膜炎や膿胸などリンパを介するものも認められます。その他、胃や胆道の手術の際に、その汚染から引き起こされるケースも見られます。

治療法

膿瘍を形成するとその有効性は失われますが、発症初期においては強い抗生物質の投与による治療方法がとられます。これは有効とされているためです。適切な治療法を行わないと、合併症で膿胸、肺膿瘍、肝膿瘍を生じ、全身状態は非常に悪くなります。また、見通しも悪化していくことになります。ドレナージ法には手術的ドレナージ法と経皮的ドレナージ法があり、前者は穿刺経路が不明瞭なケースにおいて適用される傾向にあります。後者は、CT或いは超音波などの案内を用いて穿刺するもので、こちらはその経路が明確になっているケースにおいて適用されます。