症状
喉頭と鼻に生じるものは乳児に多いとされます。前者は咽頭から拡大するものと原発性のものに分類され、咳や嗄声、熱の上昇などを認めます。気道閉塞は偽膜によって引き起こされ、呼吸困難を招きます。後者は、鼻汁が初発症状となります。最初は水溶性であるものの時間の経過と共に膿性のものに変わっていきます。また鼻中隔に偽膜が生じ、発疹も随伴させます。ただし、熱の上昇は見られません。皮膚ジフテリアでは潰瘍や発赤を皮膚に認め、眼ジフテリアでは偽膜や浮腫を眼瞼結膜に生じます。非常に多いとされるのが、咽頭ジフテリアもしくは扁桃ジフテリアと呼ばれているもので、発症年齢層は成人や年長児童となります。偽膜が咽頭や扁桃に生じるもので、上気道炎症から続発します。悪化すると、軟部組織における浮腫や頸部リンパ節炎を生じます。合併症として循環不全や神経麻痺、心筋炎を生じるケースもありますが、偽膜だけが見られてそまま治癒する軽いものもあります。
原因
咽頭や喉頭、鼻、皮膚に生じるジフテリアがあり、これらは病巣の個所から分類され、特に多いとされるのが咽頭ジフテリアとなります。感染した個所に偽膜を生成するため、これによって気道閉塞を招きます。また、生成された毒素に起因して神経麻痺や心筋に障害をきたします。二類感染症であり、届出義務が医師に課せられています。湿地帯では皮膚ジフテリアが夏にも見られますが、通常は秋から冬にかけて発症率が高くなります。感染は飛沫によって人間から人間に生じ、一週間ぐらいの潜伏期を経て発症します。
治療法
マクロライド系若しくはペニシリン系の抗生物質が投与されます。これは早くにジフテリア菌を消滅させる意図があるためで、感受性の認められる抗生物質が選択的に投与されることになります。また、ウマ血清の抗毒素を用います。これは血液中に含有される毒素を中和させるために使われるものです。その他、対症療法によって気道狭窄や心筋炎などに対処しますが、気管内挿管や気管切開などは気道狭窄が悪化したケースにおいて実施されます。