肺膿瘍

症状

肺膿瘍(はいのうよう)の初期段階では咳、痰、発汗、発熱、疲労感、食欲不振などを示します。急激に発症する場合と緩慢に進行するケースがあり、血痰などを見ることもあります。また、胸膜炎を引き起こしている際には胸痛を訴えることもあります。更に慢性化したケースでは寝汗や体重減少、発熱なども出現します。

原因

細菌などによる感染症が原因であり、多くは口及び喉に存在しているものが肺へ移動することによって生じます。膿が肺内部で発生し、その周囲は炎症組織に包まれています。通常、原因菌は体の防御機能によって肺へ侵入するのを咳などで防いでいます。これが薬や神経疾患、意識障害などによって阻害され、感染症を引き起こすことになります。また敗血症性肺塞栓によって肺膿瘍を引き起こすことがあり、これは細菌などを含有する血塊が他の個所で発生し、血液を介して肺へ移動することによって招きます。

治療法

膿瘍排出を促進させる体位ドレナージが行われる他、初期段階では静注による抗生物質の投与による治療方法となります。症状が軽快すると経口投与に移行し、膿瘍が胸部X線上から消えるまで継続されます。このため数週間ないし数ヶ月に渡って治療が行われることになります。その他、胸壁からチューブを入れて膿瘍を排出する治療法や、手術によって感染部位を切除することもあります。尚、肺膿瘍では、免疫機能低下や肺癌、衰弱、膿瘍が大きすぎるなどの理由によって死に至るケースもあります。