肺良性腫瘍

症状

肺良性腫瘍(はいりょうせいしゅよう)は胸部X線検査などで発見されるケースが多いため、特にこれといった症状を示しません。進行すると咳や喀痰などを示しますが、これは気管支腔内に達する、中枢にて発症した病巣の場合となり、血痰が見られることもあります。また胸膜刺激症状から引き起こす咳などは、末梢で生じた肥大化した腫瘤によるものとなります。その他、閉塞性肺炎を併発したケースでは発熱が見られ、これは気管支閉塞をきたすことで生じます。

原因

肺実質、胸膜、気管支炎、血管などから生じる腫瘍であり、上皮性腫瘍、軟部組織腫瘍、中皮腫、腫瘍類似病変、分類不能腫瘍、その他の腫瘍などに分類されています。肺に出現する腫瘍で良性とされるものは少なく、全体の数パーセントとなっています。発症率は低く稀に見られる腫瘍となります。尚、上皮性腫瘍には乳頭腫、腺腫があり、前者は扁平上皮型乳頭腫、移行上皮型乳頭腫に分けられます。後者は多形成腺腫、単一性腺腫などに分けられます。また軟部組織腫瘍は線維腫、脂肪腫、リンパ管腫、神経線維腫、顆粒細胞腫、血管腫、軟骨腫に分けられます。中皮腫には良性中皮腫があり、腫瘍類似病変ではリンパ増殖性病変、好酸球肉芽腫、炎症性偽腫瘍、過誤腫、ツモーレット、硬化性血管腫などがあります。その他、傍神経節腫、奇形腫、淡明細胞腫などもあります。

治療法

手術を行う前に診断がなされた場合、経過観察となるケースもあります。ただし、悪性か良性かの判断は困難であり、手術に至るケースが多いとされます。手術が行われると通常は見通しも良くなります。尚、転移性腫瘍、結核腫、肺癌との識別が必要であり、これは良性腫瘍であっても特徴的な性質を呈する画像が認められるためです。