視床下部症候群

症状

精神神経症状では、記名力、無動無言症、意識障害などを、自律神経系では発汗や、体温異常、頻脈、高血圧などを呈します。また摂食中枢が障害されることで痩せが出現し、飽満中枢が障害されることで肥満を招きます。体温異常では発作性低体温、変動体温、発作性高体温、持続性高体温、持続性低体温が示されます。水代謝の異常では、無飲水性高ナトリウム血症、中枢性尿崩症を出現させます。更に下垂体前葉ホルモン分泌に支障をきたしますが、幾つかのホルモン分泌が同時に障害されるケースが多いとされます。中でも成長ホルモン分泌の障害が非常に多く、反対に甲状腺刺激ホルモン及び副腎皮質刺激ホルモンなどは障害を受けにくいとされます。その他、思春期早発症も見られます。以上の症状は、それぞれ併発するケースが多く、視床下部病変が生じた個所とその範囲によって異なります。

原因

視床下部の病変によって引き起こされるものをまとめて視床下部症候群(ししょうかぶしょうこうぐん)と言います。先天性障害、腫瘍、浸潤性病変、栄養及び代謝障害、神経変性疾患、感染症、血管性疾患、外傷、機能性障害、といったものが原因となります。具体的には、先天性障害で家族性中枢性尿崩症、視床下部性下垂体機能低下症、プラダー症候群、ローレンスムーンビードル症候群などがあります。発生異常ではカルマン症候群、脳梁形成不全、無脳症、孔脳症、過誤腫、鞍上部くも膜嚢胞、第3脳室コロイド脳胞などがあります。腫瘍では、リンパ腫や血管腫、頭蓋咽頭腫、脳室上皮腫、脂肪腫、松果体腫、形質細胞腫、肉腫、神経節細胞腫、胚芽腫、下垂体腫瘍、髄膜腫、神経芽細胞腫、多形性神経膠芽腫、神経膠腫、髄芽細胞腫、そして転移性腫瘍などがあります。栄養代謝障害では核黄疸、体重減少、神経性食欲不振症などがあります。神経変性疾患ではパーキンソン、神経膠症があり、感染症では結核性髄膜炎、細菌性髄膜炎があげられます。血管性疾患では動静脈奇形や動脈瘤、くも膜下出血、下垂体卒中、血管炎などが該当します。

治療法

基本的に元となる病気の治療と共に内分泌異常に対しても治療を実施します。ホルモン補充療法は尿崩症や下垂体機能低下症に適用し、手術は腫瘍の場合に適用されます。ただし、胚芽腫のケースではまず放射線療法が実施されます。