尿崩症

症状

尿量の増加が最大の特徴であり、一日凡そ五リットルから十リットル程度となります。ケースによってはそれ以上排泄されることもありますが、健康人であれば一日凡そ1.5リットル程度となります。尿量が増えるため、非常に喉が渇きます。発症は急激であり、水分補給を控えても尿量そのものは減少しません。また水分補給が大量に及ぶため、食物の摂取も儘なりません。そのため、体重減少をきたし、更には脱水状態を招きます。

原因

尿量が異常に増加する疾患であり、これは下垂体後葉からの抗利尿ホルモンの分泌量が低下することに由来します。尿崩症(にょうほうしょう)にはハッキリとした原因の分からないケースもありますが、炎症及び腫瘍といったものが下垂体周辺に発生したり、外傷に起因して引き起こされる場合があります。腎性尿崩症は腎臓において抗利尿ホルモンが作用しなくなることが原因であり、下垂体後葉には異常が認められません。

治療法

一日数回、点鼻薬として抗利尿ホルモン薬が投与されます。これによって尿量も適正範囲内に治まるようになります。また、注射によって抗利尿ホルモンが投与されることもあります。その他、抗痙攣薬や糖尿病薬などにも有効性が認められており、これらを組み合わせて用いることで更なる効果が期待されます。尚、胃腸の異常から水分を補給できなくなったり、意識を喪失したケースでは直ちに点滴注射によって水を補う必要性があります。