悪性胸膜中皮腫

症状

悪性胸膜中皮腫(あくせいきょうまくちゅうひしゅ)の初期段階では特に症状を示しません。しかし胸水貯留は大半のケースにおいて認められ、こうなると咳や胸痛、呼吸困難といった症状を示します。また体重が減ってしまうこともあります。両側の肺において悪性胸膜中皮腫を発生させることもありますが、普通は片側のみ侵されることが多いと言われています。尚、胸膜中皮腫は胸腔内においてその範囲を拡大させていきます。

原因

アスベストを吸い込むことが職業的に行われている場合に発症するものとなります。胸水貯留が引き起こされると咳や息苦しさ、胸痛などを生じ、これらの自覚症状によって初めて発見されることが多いとされます。そのため早期発見は困難である上に、進行すると周りの組織や臓器への浸潤若しくは転移により悪化していきます。アスベストを用いて作られた工業地域周辺、或はアスベスト鉱山近辺において発症率が高くなっています。通常、アスベストを吸い込んで悪性胸膜中皮腫が出現するまでに何十年もかかります。

治療法

進行したケースでは全身化学療法が実施されるものの、その効果は低いため、早期治療を要します。初期段階での肺及び胸膜全摘出が唯一の根治療法となります。その他、放射線療法が組み合わせて適用されることもあります。悪性胸膜中皮腫の見通しは悪く、その生存期間も現在のところ平均一年程度とされます。尚、化学療法を行うことによって血小板及び白血球数低下をきたし、感染症を招きやすいと言われています。またドキソルビシンなどが主軸とされるため、多量に使うことで心毒性を随伴させたり脱毛を生じます。