肺化膿症

症状

肺化膿症(はいかのうしょう)の初期段階では発熱や寒気、咳、胸の痛みなどが発生します。数日経過すると今度は膿性の痰が大量に排出されます。血を伴うケースもありますが、喀血が見られると非常に重症となります。また化膿菌によって赤血球が壊されてしまうため、軽い貧血を生じることもあります。検査では血液や痰が調べられ、X線を用いて陰影が確認されます。CRPが上昇し、白血球も増加します。

原因

肺が細菌感染に起因して化膿することが原因で、これによって膿が蓄積されたり、組織溶解を引き起こし空洞を作ってしまう疾患を肺化膿症と言います。同じ意味を持つ言葉では肺膿瘍(はいのうよう)或は肺壊疽(はいえそ)と呼ばれるものがありますが、いずれも同一の意味で用いられます。免疫機能低下を引き起こしている方や誤嚥を惹起しやすい方に多く見られる疾患であり、病原菌が口腔内へ侵入することで発症します。病原菌では肺炎菌、インフルエンザ菌、連鎖球菌、ブドウ球菌などがあります。通常、これらの菌が肺へ侵入しても発症しないのですが、肺のう胞症や肺結核、気管支拡張症などを患っていたり、炎症が鼻腔や咽喉、口腔などにあれば、その部分から化膿菌が多く肺へ吸収されてしまうことが原因となります。その他、血液を介して化膿菌が肺へ侵入することもあります。

治療法

病変が限られた場所、或は治療の難しいものでは手術による治療方法がとられることもあります。通常は病原菌に有効とされる抗生物質を選択して投与し、排膿を促進させる治療法が採用されます。凡そ数ヶ月で治癒するに至りますが、ケースによっては慢性化するため、治療が長引くこともあります。