劣性伴性X連鎖無ガンマグロブリン血症

症状

インフルエンザ菌、大腸菌、ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎菌などに起因する気道感染や髄膜炎、膿皮症、敗血症といったものを何度も繰り返し再発する傾向が見られます。また治癒が長引いたり、重症化するケースもあります。抗体を要する肝炎ウイルスやエンテロウイルスなどに対して易感染性を示しますが、通常のウイルスや真菌などに対しては正常に防御機能が作用します。これは、ウイルスや真菌などに対して影響を与えるのがT細胞系であるためです。尚、本疾患はブルトン型無ガンマグロブリン血症とも言われます。

原因

チロシンキナーゼの欠如から引き起こされる疾患です。この分子はB細胞の初期分化に必ず必要とされるものですが、その働きに欠如をきたすとプレB細胞の時点でその分化がとまります。このため抗体を生成できなくなってしまいます。劣性伴性X連鎖無ガンマグロブリン血症では、全クラスの免疫グロブリン生成が認められません。B細胞欠損に由来するものとなりますが、T細胞系には異常は認められず、伴う異常も存在しません。尚、成人期では慢性副鼻腔炎及び気管支拡張症といったものが多々見られます。

治療法

慢性下気道感染が見られる場合、肺機能を保つために対症療法が実施されます。通常、抗体を補うため、免疫グロブリン製剤を静注によって投与します。生後、抗体の補填が不足していれば、成人期を経過すると呼吸機能低下を招きます。更に悪性腫瘍を生じることもあり、これはIgAの欠如によるものと言われています。ただし、生後早くから適切に抗体を補うことができれば、通常人と同等に近い生活を送ることができます。