抗リン脂質抗体症候群

症状

肺梗塞、腸管梗塞、脳梗塞、心筋梗塞、血栓性静脈炎、網目状皮疹、壊疽、皮膚潰瘍、習慣流産、視力障害などが見られます。

原因

自己抗体が血中に生成されることによって動静脈中の血液が固まりやすくなる病態を言い、多彩な病気を引き起こします。自己抗体は抗リン脂質抗体といわれているものであり、全身性エリテマトーデスに合併するケースが多いとされます。四肢における静脈血栓症や肺梗塞、脳梗塞、心筋梗塞、そして死産や習慣流産、血小板減少などを引き起こします。一般に、若年層で血栓症を引き起こした場合や何度も流産を繰り返すケースにおいて本疾患が疑われます。原因はハッキリ解明されていません。若年層では動脈硬化を誘因とする心筋梗塞や脳梗塞は考えられにくく、冠状動脈疾患、下肢静脈血栓症、習慣性流産を見る場合は抗リン脂質抗体が検出されることがあり、これを原発性抗リン脂質抗体症候群(げんぱつせいこうりんししつこうたいしょうこうぐん)と言います。

治療法

動静脈血栓症に対しては抗凝固療法が実施されます。また妊娠を防ぐ経口薬を利用していれば、それを止め、脂質異常や高血圧が認められる場合は、その治療をします。ただし、特に症状が見られず、血栓症既往も認められないケースでは治療をしません。しかし、タバコや高コレステロール血症、高血圧などは血栓症を引き起こす要因になるため注意を要します。尚、血栓症既往が認められなくても微量のアスピリンが予防の意図をもって用いられることがあります。