脳静脈洞/脳静脈閉塞血栓症

症状

脳静脈洞(のうじょうみゃくどう)と脳静脈閉塞血栓症(のうじょうみゃくへいそくけっせんしょう)。海綿静脈洞閉塞血栓症では口腔、耳、副鼻腔、眼といった病気に引き続いて発症することが多いとされ、更に腫瘍などの圧迫に起因する症例も見られます。また閉塞した方において眼球運動障害などが見られます。横静脈洞閉塞血栓症では耳鼻疾患である中耳炎などに引き続いて生じるケースが多く、頭痛や意識障害、痙攣などを示します。脳表在静脈閉塞血栓症では運動障害や意識障害、感覚障害、頭痛、失語、痙攣などが示されます。脳深部静脈閉塞血栓症では痙攣、昏睡、高体温などがあり、死に至るケースもあります。成人ではあまり見られませんが新生児に多くなっています。上矢状静脈洞閉塞血栓症では症状があまり示されないこともありますが、出現すると眼鼻周囲の浮腫や眼底うっ血乳頭、鼻出血などが呈されることもあります。

原因

原発性や続発性に起因するものがあり、前者は原因がハッキリ分からず血液やその循環異常によるものとされます。後者は静脈洞及び脳静脈の周囲において病変や炎症から圧迫され、これに続いて生じるタイプを言います。またこれらが混在するものが原因となることもあります。脳血栓症では一般に動脈で発生するものを指しますが、静脈にも同様のことは起こりえます。ただ、脳静脈には弁装置が存在していないため、閉塞が生じると脳静脈の吻合部によって流れを変化させています。そのため顕著な症状を示すことが少ないとされていますが、側副血行が十分に発達していないと、血管破裂や脳浮腫、脳梗塞、脳圧亢進などを引き起こします。閉塞個所によって症状はそれぞれ異なっており、また限られた場所にだけ発症するものではないため、広範において生じることもあります。そのため頭痛のみを訴えるケースもあれば死に直面する重症例までさまざまとなっています。

治療法

急性期では感染に起因するものであれば抗生物質、痙攣によるものでは抗痙攣薬などが用いられます。また意識障害が見られるケースでは気道確保が重要となります。慢性期では血栓溶解薬や抗凝固薬などが使われますが、その有効性に関してはハッキリ分かっていません。脳圧亢進の症例では重症であれば手術による治療方法が採用されますが、通常マンニトールやグリセロールといった高張液などが用いられます。尚、脳静脈洞並びに脳静脈閉塞血栓症において側副血行が十分に形成されているケースでは見通しもよくなっています。