有機リン剤中毒

症状

ムスカリン様症状では、発汗や縮瞳、肺水腫、気道分泌亢進、徐脈、嘔吐、悪心、下痢、腹痛などが見られます。ニコチン様症状では、筋線維性れん縮をはじめ、呼吸筋麻痺や全身痙攣を呈します。中枢神経系症状では、意識混濁、昏睡、興奮、不安、錯乱、体温の上昇などが見られます。交感神経症状では高血圧や頻脈などを見ます。

原因

化合物は百以上存在しますが、合成殺虫剤の領域で用いられています。有機リン剤中毒(ゆうきりんざいちゅうどく)はこれを原因としますが、現在、除草剤や殺菌剤などにもその利用が及んでいます。かつて、パラチオンといった有機リン剤は死に至る確率の高い中毒を引き起こすものでしたが、今日では、その毒性も落ちたものが用いられています。コリンエステラーゼ阻害作用が中毒の主軸をなします。これは、有機リン剤がコリンエステラーゼと結合することで、その活性を阻むためです。つまり、多量のアセチルコリンが溜まってしまうためで、中枢神経や末梢神経において障害を招きます。検査ではさまざまな機能検査が行われますが、主として心電図、血清ChE、尿中における代謝物定量分析、血液中における有機リン剤定量分析が実施されます。

治療法

吸着剤若しくは下剤が用いられ、胃洗浄が行われます。重症化したケースでは、胃洗浄から続いて腸洗浄も実施します。尚、呼吸を抑え、気道分泌が見られる有機リン剤中毒では呼吸管理が大切です。