症状
感染症に起因するものが非常に多く、液性免疫不全では細胞外細菌による感染症を引き起こしやすくなっています。これは殺菌能低下が補体結合によって招かれたり、細菌へのオプソニゼーションの欠陥に由来します。またT細胞に起因する免疫不全ではウイルスや真菌、細胞内細菌、原虫への易感染性を示します。更に免疫不全を有する場合、悪性腫瘍が免疫系組織に発生しやすいと言われています。
原因
感染に起因する免疫不全、悪性腫瘍を原因とする免疫不全、医原性などによる免疫不全症があります。感染ではEBウイルス、B型肝炎ウイルス、風疹ウイルス、サイトメガロウイルスなどウイルス系によるものやアスペルギルスやコクシドアイコーシスといった真菌、結核菌やレプラ菌などの細菌類によるものがあります。悪性腫瘍では多発骨髄腫や白血病、悪性リンパ腫などがあり、大半がリンパ組織、骨髄、胸腺へ腫瘍組織が浸潤し、免疫不全を引き起こします。医原性によるものでは、麻酔や手術、各種免疫抑制薬などがあります。
治療法
細胞毒薬剤やステロイドに起因する免疫不全では直ちにこれらの利用を中止します。重症感染例では静注による免疫グロブリンの投与が行われることもあります。これには多発骨髄腫において低ガンマグロブリン血症を随伴させる場合、慢性リンパ球性白血病を呈する場合などが該当します。骨髄移植は疾患の経過に随伴する治療抵抗性を示す免疫不全に適用されます。尚、原則として二次性免疫不全症(にじせいめんえきふぜんしょう)の治療は、元となる疾患の治療が主軸となります。また合併症の引き金となる原因を除去し、更に増悪因子を取り除くことが重要で、これによって免疫能力の改善を目指します。