カドミウム中毒

症状

急性の場合、大量経口摂取にて体内へカドミウムが侵入すると、腹痛や下痢、嘔吐、悪心といった腹部症状が出現します。これは消化管粘膜への刺激症状をカドミウムイオンによってもたらされるためです。一方、カドミウム粉塵を高濃度で吸い込んだ際、数時間で咳や頭痛、咽頭痛、発熱、嘔吐、悪心、胸部不快感などを生じます。また急性化学性肺炎、肺水腫を招きますが、一定時間経過すると症状も軽くなってきます。しかし、間質性増殖性肺炎が次第に出現し、移行します。その後、肺線維症から肺機能低下を残存させることもある一方で、チアノーゼや肺機能不全から致命的になることもあります。慢性の場合、呼吸器及び腎障害が中心となります。また、眩暈、疲労感、食欲不振、体重減少、悪心、嗅覚異常、呼吸困難、喀痰、咳なども見られます。その他、カドミウム黄色環が歯に見られることもあります。

原因

肝臓に蓄積したカドミウムはメタロチオネインと結合し、これが腎皮質へ次第に集積され、腎機能を低下させます。これは近位尿細管が障害されるためで、ここに萎縮を招きます。急性のカドミウム中毒では初めに肺が障害され、肺線維症、肺水腫を招きます。慢性化したカドミウム中毒では、はじめに腎臓が侵され、次いで肺に障害をきたし、肺気腫を出現させます。呼吸器から消化器を介してカドミウムが吸収され、これが血行性に肝臓へ蓄積されます。カドミウムの排泄は非常にゆるやかであり、特に腎臓へ集積した場合、十数年かかると考えられています。尚、銅や鉛、亜鉛といった鉱石内にカドミウムは含有されています。電池や染料、メッキ、プラスチックなど多くのものに用いられています。

治療法

慢性化したものでは、カドミウムからの離脱が重要となります。また対症療法が行われます。化学性肺炎に起因するものでは、栄養を十分に摂取し安静を心がけます。また強心薬や抗生物質、副腎皮質ホルモン薬などが投与されます。その他、酸素吸入も行われます。