全身性強皮症

症状

食道をはじめ、肺や腎臓、腸管において線維化を惹起する病態です。強皮症は主に皮膚硬化を特徴とするもので、大別すると身体全域の諸臓器に渡って線維化を招く全身性強皮症(ぜんしんせいきょうひしょう)と、硬化が肌に限定して見られる限局性強皮症に分類されます。男性より女性に多く見られ、早期ではレイノー現象と同時に手指の腫れや皮膚硬化を認めます。硬化に伴って短指症、開口困難、指尖潰瘍、色素沈着、毛細血管拡張、皮膚潰瘍、皮膚石灰化、色素脱失、更には筋力低下や筋肉痛、関節痛をも引き起こします。障害が内臓に生じると、嚥下困難、間質性肺炎、肺線維症、腎障害、腸管消化不良、腎性高血圧、不整脈、肺高血圧症などを招きます。

原因

全身性強皮症の原因はハッキリ分かっていません。しかし、血管病変、細胞成長因子、コラーゲン合成増加、自己免疫といったものに加えて遺伝的背景などの異常が複雑に関与して、発病するものと推測されています。また最近ではマイクロキメリズムとの関わりも指摘されています。

治療法

全身性強皮症の治療で中心となるのが対症療法であり、免疫抑制薬及びステロイド薬の使用では著しい効果が認められません。一般に、早期及び急速進行の症例、進行性肺線維症に免疫抑制薬が使われます。ステロイド薬も急速進行並びに早期の症例、浮腫性硬化主体などのケースで中等量が使われ、一定期間を通して使用量を少なくしていきます。腎クリーゼにはアンギオテンシン変換酵素阻害薬が用いられ、関節炎にはアスピリンやインドメタシンといったNSAIDが使われます。肺高血圧症にはエンドセリン受容体拮抗薬が使われ、レセルピンやプロスタグランジンE1、ビタミンEなどの血行改善薬はレイノー症状や指尖潰瘍などが適応です。また、マッサージや低周波置針法、温浴法、保温などにも期待されています。その他、食事の直後に横臥しないようにし、寒さを感じるような環境を排除し、無用な不安感を避け、喫煙を止めるなどの生活習慣も重要です。