水槽肉芽腫

症状

皮膚に生じた小さな外傷から感染し、皮疹が発生します。痂皮及び膿疱を随伴させる発赤が見られ、結節性局面を呈します。落屑が徐々に見られるようになり、疣贅状局面を出現させます。好発個所は、外傷を招きやすい関節の突出した部分や手指の背面となります。潜伏期は凡そ二週間程度で、日本では熱帯魚を飼育する人や水族館に従事する人などに見られます。水槽肉芽腫(すいそうにくげしゅ)では多くが単発性となりますが、中には全身播種されたり、リンパ流に沿って生じることもあります。尚、本疾患はプール肉芽腫とも呼ばれます。

原因

Mycobacterium marinumが原因菌となります。この菌は、熱帯魚の水槽やプールの水を介して感染し、淡塩水に生息します。非結核性抗酸菌で皮膚病変を招く場合、大半はこのマイコバクテリウムが原因菌となります。病理組織から抗酸菌検出は難しいとされますが、類上皮細胞性肉芽腫及び化膿性炎症が入り混じった病理所見が得られます。

治療法

Mycobacterium marinumは生息可能温度が三十度前後となっており、局所温熱療法にも効果があるとされています。また、薬物ではリファンピシン及びテトラサイクリン系の抗生物質が用いられます。一般に、数ヶ月で治癒するに至ります。尚、鑑別を要する疾患では異物肉芽腫、各皮膚結核、皮膚真菌症などがあげられます。また菌は水槽や生検組織、膿汁などを培養することで検出可能です。