肥満低換気症候群

症状

肥満低換気症候群(ひまんていかんきしょうこうぐん)では肥満と共に筋れん縮、チアノーゼ、呼吸困難、傾眠などが出現します。また睡眠中には何度も発生する無呼吸状態が見られ、いびきもかきます。更に下肢部における浮腫や頸動脈怒張などは右室不全から引き起こされます。

原因

胸郭における脂肪蓄積、予備呼気量低下、機能的残気量減少、上気道抵抗上昇などが影響を与えていると考えられていますが、特定の肥満者がどうして低換気状態を引き起こすのかはハッキリ解明されていません。尚、ピックウィック症候群は重度の肥満、右室不全、右室肥大、筋れん縮、周期性呼吸、二次性多血症、チアノーゼ、傾眠が見られるものを言います。肥満低換気症候群はピックウィック症候群に加えて重度の肥満と高炭酸ガス血症を随伴させる症候群をまとめたものを指しています。

治療法

重症であれば、気管切開による治療法が選択肢の一つになります。ただし易感染性上昇や構音障害などを発生させるため、その実行には慎重を要します。マジンドールなど、薬物による治療方法もありますが、大きな効果は望めません。そのため食事療法によるカロリー摂取制限が基本となります。また呼吸障害を睡眠中に随伴させている際、或は昼間の傾眠が高度である場合は、非侵襲的換気療法や鼻腔持続陽圧呼吸法などが行われることもあります。更にアセタゾラミドやプロゲステロンといった呼吸中枢刺激薬などは低換気症状に用いられます。その他、うっ血性心不全を引き起こしていれば、それを治療します。尚、レプチン及びTRHなどは新治療薬とされています。また低酸素を改善するとされる酸素療法は、低換気を強めてしまうケースがあります。