特発性肺血鉄症

症状

特発性肺血鉄症(とくはつせいはいけってつしょう)。咳、呼吸困難、チアノーゼ、貧血、喀血などを主とし、これらは毛細血管の障害に由来する肺胞出血によるものとなります。

原因

瀰漫性肺胞出血を引き起こし、肺全域において鉄沈着から茶褐色になります。また肺の繊維化や肺硬化が様々な度合いで出現します。貧血、喀血、呼吸困難などを示し、何度も再発する原因不明の瀰漫性肺胞出血から肺線維化及び鉄沈着を肺において引き起こします。細胞内外では鉄貪食マクロファージが数多く見られ、肺胞上皮変性、肺胞上皮増生、組織への好中球浸潤、細胞壁肥厚などが見られます。慢性化するとこれらと共に間質においても線維化を生じるようになります。

治療法

肺胞出血が広い領域で発生した場合、人工呼吸器或は酸素吸入などが実施されます。鉄欠乏性貧血を引き起こした際には、鉄剤が投与されます。通常、副腎皮質ステロイド及び長期間に渡る免疫抑制薬の投与による治療方法がとられます。特に急性期の副腎皮質ステロイドの利用は有効性が知られています。ただし、特発性肺血鉄症に関しては症例が少ないことから科学的根拠に基づいた上質の治療法は確立されていません。尚、成人では慢性の経過を辿って肺線維症を引き起こすケースが多いとされますが、見通しは小児に比較すると良いとされます。一方、小児では見通しが悪く、これは治療抵抗性に起因します。