腸性肢端皮膚炎

症状

初発は紅斑であり、痂皮、糜爛が見られます。環状鱗屑を作り、紅斑は膿疱、小水疱、丘疹を随伴させます。膿痂疹、皮膚カンジダ症、乾癬、脂漏性皮膚炎と良く似た病状を呈します。皮膚炎は、開口部である耳孔、口周囲、鼻孔、眼周囲、そして外陰部及び四肢末端に多く見られ、これら以外に爪囲炎或は爪の変形、嘔吐、下痢なども招きます。その他、側頭部や後頭部など多くの症例で脱毛が認められ、その範囲は眉毛などにも達します。

原因

ZIP4遺伝子変異が原因となって腸性肢端皮膚炎(ちょうせいしたんひふえん)を招きます。この遺伝子は第八染色体上に存在し、先天性においては常染色体劣性遺伝形式をとります。高度な下痢及び嘔吐、消化管切除、長い期間に渡る経中心静脈栄養などに起因して後天性の亜鉛欠乏を招きますが、亜鉛や鉄の特異的輸送蛋白がZIP4遺伝子の転写産物となります。乳児では母乳中の亜鉛欠乏に起因して発生することがあり、薬剤ではペニシラミンと呼ばれる抗リウマチ薬に起因して発生することがあります。

治療法

硫酸亜鉛、経腸栄養剤、輸液補助製剤などが投与されます。基本的には亜鉛の補給が重要となります。尚、皮疹が皮膚カンジダ症、膿痂疹、乾癬、脂漏性皮膚炎などに良く似ているため鑑別を要します。