化学熱傷

症状

多くはアルカリ、脂肪化合物、金属、酸、非金属、腐食性芳香族などの取り扱いの失敗によって化学熱傷(かがくねっしょう)を招きます。アルカリでは蛋白の溶解壊死を引き起こします。酸に比較すると痛みは軽いものの深部に及びます。酸は凝固壊死をまねき水疱から壊死に達します。特にフッ化水素酸は酸濃度が高いため、痛みも酷くなります。深い潰瘍を進行性に発生させます。脂肪族化合物では腐食を招きますが、これは蛋白変性と共に脱脂の働きによるものです。芳香族化合物は濃度が高いと凝固壊死を招きます。これは蛋白変性の働きがあるためです。金属は大抵水との反応から熱の上昇、組織へ酸及びアルカリとして働きかけます。非金属では反応が様々で、中でも酸化して機能するケースが多いとされます。

原因

以下の取り扱いミスが化学熱傷の原因となります。アルカリでは、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム。脂肪化合物ではホルムアルデヒド、パラコート、エチレンイミン、塩化メチル、灯油、イソシアネート、三塩化酢酸、石油ベンジン、酸化エチレン。金属及びその化合物では、酸化カルシウム、次亜塩素酸ナトリウム、四塩化チタニウム、硝酸銀、炭酸ナトリウム、四塩化チタニウム、ナトリウム、クロム酸、銅、塩化亜鉛、硫酸。酸では燐酸、酢酸、硝酸、蓚酸、フッ化水素酸、硫酸。非金属及びその化合物では硫化水素、二酸化硫黄、フッ素化合物、燐及びその化合物、四塩化炭素、塩化硫黄、過塩素酸。腐食性芳香族ではクレゾール、トルエン、フェニルヒドラジン、フェノール、フェニルヒドロキシアミン、ベンゼン。など。

治療法

化学熱傷では早急に流水をもって洗浄し、基本的には熱傷に準じます。生石灰を含有するナトリウム及びカリウム化合物については大量の流水を施します。クロム酸では組織を取り除くか血液透析を実施するケースもあり、これは皮膚吸収率が高いためです。フッ化水素酸ではグルコン酸カルシウムを皮下注射します。また化学熱傷において中和剤の使用は逆に悪化させる可能性もあるため、用いません。