肝臓癌の腫瘍マーカーとして使われていますが、数値の上昇は肝硬変や肝炎でも認められます。AFPは元来妊娠早期の胎児に存在している蛋白質の一種でα-フェトプロテインのことを言います。出生した後、消失するため、通常、健全な人の血液には含有されていません。しかし、肝臓癌が発生すると、そのほとんどの患者の血液で認められるため、血液生化学検査であるGOT及びGTPなどと一緒に測定されます。当該検査は肝臓癌のスクリーニング検査として適用されています。そのため、肝癌の早期発見に有用であり、診断の手がかりや経過観察などに適しています。ただ、AFPの陽性が肝臓癌であっても示されないケースもあります。その一方で陽性が示されると、治療の効果が認められればこの数値が低下するため、経過観察などに役立ちます。
基準値は20ng/ml以下で、この十倍から二十倍の数値になると肝臓癌が疑われます。陽性を示した場合、肝臓癌の中でも原発性肝細胞癌が高確率で認められます。ただ、前癌状態のリスクが認められる慢性活動性肝炎でも高値を示すため、一定期間ごとに測定することが推奨されます。また、胃癌や膵臓癌でも陽性を呈するケースがあります。
診断は肝硬変及び急性肝炎の治癒期にも上昇を示すため、AFP値だけでなく、別の肝機能検査なども実施されます。その結果から、肝硬変や肝癌、急性及び慢性肝炎などを判定することになりますが、これに加えて画像診断も行われます。これには、CTや超音波検査などが適用され、更に詳細なデータを得ることになります。