アルドラーゼ/ALD

この成分が含有されている組織では肝臓や腎臓、脳神経組織、筋肉組織があげられます。アルドラーゼ(ALD)は酵素の一種であり、糖質を分解する働きがあります。組織に障害が発生すると、血中に流出してくるため、損傷を受けた筋肉組織などがどれくらいのものかをこの数値を測定することで確認することができます。また、分子構造が違う酵素群であるアイソザイムがA型、B型、C型の三種類存在するため、個々の臓器によって含有されているものが異なります。これらは重複してそれぞれの臓器に混じっていることもあります。例えば、A型とB型を混在させている組織では腎臓や肝臓があげられます。A型は脾臓や骨格筋、心筋などに多く含有されており、A型とC型は神経組織や脳に多く存在しています。いずれも組織に障害が発生したり、損傷を受けた際に血中へ流入してくる性質があり、これは同じ酵素の仲間であるLDHなどと同様です。

基準とされるのは女性でおよそ6から11IU/l、男性で約8から13IU/lです。異常値である高値を示した場合、筋ジストロフィーや白血病、多発性筋炎、脳圧亢進症、急性肝炎、閉塞性動脈疾患、心筋梗塞などが疑われます。中でも明らかにアルドラーゼの上昇を示すのは多発性筋炎や筋ジストロフィーで、このうち骨格筋の大きな部位で傷を受け、その範囲が広いケースではとても上昇傾向を示します。ただ、筋緊張型、肢帯型、顔面肩甲上腕型といったタイプの筋ジストロフィーでは中等度の高値を示します。軽い上昇を示すものでは血液疾患や脳血管障害、心臓病、肝臓病、悪性腫瘍、筋萎縮性疾患などがあります。異常値と判定された場合、筋組織異常を認める疾患の診断を下すため、他の酵素であるGOT、CK、LDHなどの検査も併用して総合的に判断されます。