ASO

溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)への感染を確認する検査です。いわゆる溶連菌のことで、中耳炎、咽頭炎、しょう紅熱、扁桃炎などを引き起こします。手足の関節痛や熱の上昇が炎症及び化膿から引き起こされる疾患で、当該検査ではA群溶連菌感染に起因する抗体値を確認します。β溶連菌が生成するストレプトリジン-Oは毒素であり、これを抗原として生成される抗体を抗ストレプトリジン-Oと言います。つまり、ASO若しくはASLOのことを指しています。通常、一般成人なら大抵、この菌へ感染したことがあります。このため、体の中に抗体が存在し、健康であってもASOは確認できます。ストレプトリジンには赤血球を破壊する作用があるため、当該菌に感染すると抗体である抗ストレプトリジン-Oが生成されます。赤血球と共に溶連菌を患者の血清内に取り入れて、発生した抗体を調べることで、当該菌への感染が分かります。

ランツランドル法、TIA法による測定の仕方があり、前者の基準値は一般成人でおよそ167ToddU未満となります。後者は160IU/ml未満が基準値ですが、幼児では320IU/ml未満となります。顕著に基準値を逸脱した場合、溶連菌感染症が推測されますが、通常当該菌に感染してもしばらくはASO値の上昇は認められません。感染からおよそ二週間程度で高くなる傾向にあり、絶頂期は一ヵ月後と言われています。その後、自然に値も落ち着いていきます。ただし、13群ある溶連菌の内、当該検査はA群溶連菌に限定して測定しているため、これ以外の溶連菌への感染ではASO値は正常になってしまいます。

異常値と判定された場合、抗生物質が投与されます。感染症が溶連菌によって引き起こされているのであれば、これで治癒します。診断には他の検査の併用も必要ですが、急性糸球体腎炎やリウマチ熱が推測される場合、前者は腎臓内科、後者は整形外科で更なる詳細な検査と共に治療を要します。また、心内膜炎が推測されるケースでは循環器科が対応します。