消化器系に発生する膵臓癌や胆嚢癌、胆管癌の腫瘍マーカーとして広く普及しています。膵臓癌の早期発見にはあまり役立ちませんが、その一方で膵臓癌に対する特異性が高くなっています。また、胆嚢癌では明らかな高値を示し、胆道系に発生した癌にも陽性反応が高確率で認められます。ただ、胆管癌では顕著にならないこともあります。その他、胃癌などの消化器系に発生した癌に対しても異常値を呈します。CA19-9は、血清中に認められる物質であり、消化器系癌が発生すると顕著に増えます。
若い女性では基準値が少し高値傾向を示しますが、中年以降では年齢や女性・男性の区別による影響は見られません。当該数値が高値の場合、消化器系の癌が推測されますが、癌より悪性ではない胆石症や肝硬変、慢性膵炎、肝炎といった疾患でも上昇を示します。ただ、良性傾向であることから、やや上昇も低くなります。その他、当該数値と共にCA-50やCA-125なども上昇している場合、女性特有の癌が考えられます。卵巣癌の早期発見には、上記の検査を組み合わせて行うことが効果を高めます。尚、陽性を示す疾患では他にも良性卵巣腫瘍、子宮筋腫、糖尿病、慢性膵炎、慢性肝炎、胆嚢炎、胆石症、肝硬変などがあげられます。
異常と判定された場合、主に消化器系の詳細な検査が必要となります。多くは、膵臓系に関わる酵素や肝機能検査を併用しているため、これらを総合的に見て、どの部分の疾患なのかを予測します。その後、CTやMRI、超音波検査などを実施し、加えて内視鏡検査によって詳細に調べ、診断を下します。