正常な肺だと肺胞及び毛細血管からガス交換がスムーズに行われています。ガス交換とは血中へ酸素が呼吸によって取り入れられ、それと同時に二酸化炭素を排出するメカニズムを指しています。動脈血ガス分析検査(どうみゃくけつがすぶんせきけんさ)は血液ガス自動分析装置を用いて測定するもので、対象は酸素飽和度、二酸化炭素分圧、pH、酸素分圧といったものとなります。これによって肺における呼吸の働きが診断され、異常なガス交換を行っていないかどうかを判定します。尚、当該検査の採血対象は動脈となります。このため、採血が静脈で行われるより、止血するための圧迫時間が長くなります。また取り出した動脈血はすぐに分析装置にかけられます。
異常が出た場合、アルカローシスやアシドーシス、低酸素血症、呼吸不全、高炭酸ガス血症などが疑われます。酸塩基平衡は動脈血pHが基準値である場合に見られる健全な状態ですが、この数値が過剰に上昇するとアルカローシスまたは塩基血症と呼ばれる症状を引き起こします。反対にアシドーシスはこの数値が過剰に落ちてしまう状態であり、酸血症とも呼ばれています。アシドーシスでは呼吸性と代謝性のものに分類され、前者では換気不全症候群や肺炎などの肺疾患によって引き起こされることがあります。後者では脱水や糖尿病、下痢、高熱性の病気、急性膵炎などが原因となって招くことがあります。アルカローシスも呼吸性と代謝性のものに分類され、前者では酸素欠乏症や発熱、過換気症候群によって引き起こされることがあります。後者では胃液吸引、嘔吐といったものから招くことがあります。低酸素血症は酸素分圧低下を招いているもので、高炭酸ガス血症では二酸化炭素分圧が上昇しています。いずれも呼吸機能が落ちていることを意味します。
異常が出た場合、呼吸器科にて詳細な検査が実施されます。これには、超音波検査や胸部X線撮影、気管支内視鏡検査、X線CT検査といったものが該当します。呼吸機能異常では肺活量測定も含めて診断の手がかりとします。