直径42ミリミクロンから形成される非常に小さな粒子からなるB型肝炎ウイルスは、急性肝炎、肝硬変、肝癌へと進行していく慢性肝炎を招きます。HBs抗原・抗体(えいちびーえすこうげんこうたい)の検査は、このウイルスへの感染を調べるためのものです。細菌は細胞を持っているため、自己増殖が可能ですが、ウイルスはこの細胞を有しておらず、生物を介して増殖していきます。B型肝炎はHBs抗原をT細胞と言われる免疫細胞が攻撃することによって発症します。これはHBsが肝細胞の細胞膜成分と結合してしまうことが原因で、T細胞の攻撃によって同時に肝細胞も破壊されてしまいます。HBVは真ん中にDNAを有するHBc抗原及びHBe抗原から構成されるコアを有しており、これを外膜であるHBs抗原が包んでいます。肝細胞のコアへHBVが侵入すると、ウイルス一つに対して1000個の比率で、HBs抗原のみで形成されている小粒子が生成されます。これが血中に流入し、肝細胞と結合します。当該検査はHBs抗原及び抗体を血清中から見つけ出すものであり、その結果から感染を確認し、どのぐらいの程度のものかを判定します。感染経路は輸血によるものが多く、特に母子感染防止の目的でよく当該検査が行われます。
感染は陽性と陰性から判断されるため、陰性が出たら感染していないことになります。この場合、HBS抗原及び抗体の陰性ですが、陽性がHBs抗体のみで示されたケースでは、過去に感染していたことを示しています。しかし、これは以前の感染が示されるだけで、既に体内のウイルスは消滅しています。このため、別の人に感染させてしまう心配はありません。HBs抗原が陽性のケースは、B型肝炎ウイルスに感染中を意味しているため詳細な検査が行われます。無症候性キャリアのケースも定期検査が必要です。