多くのウイルス性肝炎はC型肝炎ですが、初めの頃は肝機能に異常が認められず、これといった自覚症状も出現しません。これは肝硬変なども同様ですが、いずれにしても検査しなければその存在は分かりません。C型肝炎ウイルスに感染するとHCV抗体が血中に見られるようになります。当該検査は、この抗体を血清中から測定するもので、C型肝炎に感染しているかどうかを調べます。かつては輸血のほか、刺青や注射針の共用によって被害が拡大しましたが、現在輸血に用いられる血液は十分チェックされ、注射も使い捨てが原則になっているため激減しています。このため、若年層ではその多くが感染していないと言われています。
感染の判定は陽性と陰性の区別で行われます。このため、陰性(-)と出れば、感染がないことを意味します。ただ、この抗体は感染してからおよそ一ヶ月ぐらい経過しないと血中に認められないため、感染してすぐに検査した場合は陰性を示すことがあります。このケースでは、一ヶ月以降に検査すると陽性になります。
C型肝炎は感染から急性肝炎を招きますが、これといった症状を示さないこともあります。進展はゆるやかで、ウイルスが存在したまま感染から十年以上経ってから発病することもあります。この期間に該当する人に対して無症候性キャリアと言いますが、悪化すると慢性肝炎から肝硬変へと進行していき、最終的には大半の人が肝臓癌を引き起こします。HCV抗体の検査で陽性と出た場合、キャリアなのかどうかをHCV-RNA定性検査や定量検査によって判定します。また、どの程度進行しているのかを確認するため、CTや腹部超音波、血液検査などが行われます。その他、肝生検や腹腔鏡検査なども役立ちます。C型肝炎は治癒したように見えても再燃することがあるため、検査の継続は欠かせません。肝硬変や肝癌へと進展させないように努めることが重要であり、アルコールなどは避けます。