心嚢穿刺

湿った膜で構成されている心膜は心臓を覆っています。心嚢液貯留(しんのうえきちょりゅう)は、心臓外壁と心膜の間に異常から水が蓄積してしまった病態を指していて、この水の量が突然多く蓄積すると心タンポナーデを引き起こしショック状態を招きます。これは心臓の作用に、その水が悪影響を及ぼすためで、上記のリスクが上昇します。このため、すばやく心嚢液を排出する必要性があります。心嚢液貯留を招いた際に行われるのが心嚢穿刺(しんのうせんし)であり、心嚢液を排出させ、その液体成分を調べます。これはなぜ心嚢液の貯留を招いたのかを詳細に調べるために行われるもので、検査の際は心臓の周りの患部へ穿刺針を刺します。患者を仰向けに寝かせて行いますが、穿刺針は管状の注射針を用います。これによって心嚢液の性質を調べ、細胞診なども行われます。穿刺をするのに高い技術を要しますが、通常、直接心臓を損傷させることはありません。

痛みは少々圧迫感程度のものを感じますが、検査時には局所麻酔が施されます。緊張を和らげる必要がありますが、これは高い技術を要する検査と共に緻密な措置を施すためです。

異常が出た場合、結核性心膜炎や癌性心膜炎などが考えられます。当該検査で心嚢貯留を招いている理由の鑑別を行えますが、判定できない場合もあります。そういったケースでは心膜組織を調べる必要があり、胸を切り開いて組織を採取します。