仰向けに横になった状態か立ったまま撮影する検査で、腹痛を訴えてハッキリ原因が特定できない患者に対して行われます。腰椎の形や骨盤の形、腎臓の形状、お腹のガスや横隔膜の状態などを調べて病変を確認します。スクリーニング検査として行われるため、腹部X線単純撮影(ふくぶえっくすせんたんじゅんさつえい)によってふるい分けられます。当該検査ではX線を照射するため、妊娠をしている方では胎児への悪影響が懸念されます。そのため、妊娠中であれば医師への報告が必要です。撮影は、防護設備を搭載したX線撮影室で行われますが、これはX線が放射線であるためです。撮影は数秒で終わりますが、体を動かさず、息をしっかり止めます。また、アクセサリーなどの金属製の装飾品は撮影前に取り外しておきます。
当該検査は、食事制限がないため、この点は造影検査とは違います。しかし、造影法と同等の詳細なデータを得ることはできません。健康であれば、黒っぽくなっているところがガスの存在を示しています。鏡面像は二ボー像と言われているもので、腸閉塞が認められるケースで映し出されます。独特の影を示すため、診断の際には有用です。一方、白っぽくなっているところは骨を映し出しています。灰色っぽくなって、それが骨とガスの真ん中に認められる場合は、腹腔内に蓄積した腹水が考えられます。更に臓器なども黒っぽく映し出されますが、結石が発生していれば、その病変部がくっきり白色に浮かび上がります。このため、腎結石や胆石などを発見する手がかりとなります。
異常と判定された場合、緊急を要するもの以外は、腹部超音波やバリウムを使う消化管X線造影検査、血液検査などが異常部位にそれぞれ対応して併せて行われます。外科的措置を緊急に要するものでは、腹膜炎や腸閉塞といった疾患があげられます。