胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療の手がかりを得たり、ゾリンジャーエリソン症候群の診断に有用とされます。胃液分泌機能(いえきぶんぴつきのう)は、胃液の分泌量を調べるだけでなく、その色や臭いなども検査します。酵素であるペプシンや粘液、塩酸から構成されている胃液は、この臓器に病気が発生するとその量や酵素に変化が認められます。検査ではチューブを鼻腔若しくは口から入れ、胃から出る基礎分泌液を十分ごとに採取します。また上記を終えてから、刺激剤を注射して分泌を活性化させ、その刺激由来の分泌液も採取します。両方のケースで採取された分泌量をそれぞれ調べ、色や酸度も検査します。更に入り混じった胆汁や血液、粘液なども検査します。開始時間は空腹の時間帯である早朝となります。利用していた薬などは、検査実施日の何日か前にやめます。飲食は検査時間から遡って半日は、これを禁忌とします。ただし、アレルギーを認めるケースでは当該検査が適さないこともあります。その場合、中止することになるので、前もって申し出ておく必要があります。
異常と判定された場合、幽門狭窄や悪性貧血、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃炎、ゾリンジャーエリソン症候群などが考えられます。幽門狭窄や胃癌などでは悪臭が漂います。胃炎や胃潰瘍では酸味が認められます。また胃癌ではドス黒い胃液が示され、胃潰瘍では血が混入しています。基準値より少ない量の胃液であれば、慢性胃炎や胃癌が疑われ、多いケースでは胃の排泄障害である幽門狭窄といった疾患が考えられます。ゾリンジャーエリソン症候群では異常に胃酸分泌が多くなるため、当該検査を要します。この疾患は、消化管ホルモンのガストリンを生成する腫瘍によって発生します。ゾリンジャーエリソン症候群と共に胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった疾患は、酸度試験で胃液酸分泌が高値を呈するケースで疑われます。