喀痰

呼吸器系には粘膜が存在していますが、痰はその部分から浸出してくる分泌物です。このため気道や咽頭頭、気管支、肺といった組織から剥離した細胞も含有しています。いずれの組織から剥がれた細胞も、血液成分が混入していたり、異常が現れたり、埃や細菌、ウイルスといった異物を含有していると、それが痰の変化として現れます。喀痰検査(かくたんけんさ)とは、この痰を採取して調べるもので、その際顕微鏡を用います。異常は肉眼でも確認できることもありますが、喀痰細胞診(かくたんさいぼうしん)では、肉眼で確認できない細胞レベルを判別します。

採取される痰は、朝起きた直後のものが最適ですが、その際痰に鼻汁や唾液が入り混じらないように気をつけます。また、口腔内を綺麗にしようとしてうがいをすることも避けます。通常であれば、痰をわざと排泄するのは難しいため、痰を誘発させるため生理食塩水の噴霧を用いることがあります。これを吸引して強引に痰を排泄させますが、強く大きな咳を自然に行って痰を排出させても構いません。

喀痰細胞診では一から五の五段階で、結果を表します。これは顕微鏡を使って染色した痰を、異常の認められない他の細胞と比べて判別するもので、一と二は正常を示し、陰性となります。ただ、細菌感染症である結核など呼吸器系疾患は、陰性でも出現することがあるため、痰の性質が肉眼で見て正常でないと判断されれば、更に詳細な検査が行われます。その際、細菌培養検査が実施されることもありますが、これは痰に含有される細菌を培養して検査するものです。そして、三は疑陽性のため、再び検査を要します。四と五は陽性を示しており、生検や内視鏡、画像診断など、より詳細な検査を要します。これは癌の発生が懸念されるためで、治療も専門性を要します。