一般的な採血によって行われる検査であり、発生した肝障害の型を特定する目的で実施されます。また一般肝機能検査から引き続き行われる検査でもあります。体の中での作用は同様の酵素群であるものの、その分子構造はそれぞれ各臓器によって違い、幾つかの臓器にまたがって存在している酵素群を分画若しくはアイソザイムと言います。肝機能アイソザイムの検査は、これを測定することによって、原因を追究したり、病変を招いている臓器を調べたりすることができます。ALPと略されるアルカリ性ホスファターゼの数値はあらゆる疾患で上昇を示します。このため、診断の際にはアイソザイム検査が非常に有用となります。また、ALPのアイソザイムは六個に分類され、ALP1とALP2は肝臓から放出されます。骨から出てくるのはALP3であり、癌及び胎盤から出てくるのがALP4となります。小腸から出てくるのはALP5であり、小腸及び骨並びに肝臓に分布しているのはALP6となります。
GOT-Mはアミノ酸代謝に関わっている酵素であるGOTの成分の内、細胞のミトコンドリアに含有されているものを言います。これは肝炎などの診断に使われています。しかし、GOT-Mの数値は直接ミトコンドリアが損壊するぐらいの高度な細胞障害が発生しないと上昇しません。この値が高値を呈することは即ち壊死が肝細胞に発生していることを意味します。そのため、アルコール性肝障害や慢性肝炎活動型、急性肝炎などを発生していると考えられます。特に劇症肝炎を招いている場合は、顕著な上昇を呈します。また限局性肝臓障害や閉塞性黄疸といった疾患はALP1の数値が上昇しているケースで疑われます。胆道系の病気や肝疾患などはALP2が上昇しているケースで予測されます。
異常値が出た場合、肝生検、腫瘍マーカー、画像診断、ウイルスマーカーなどの検査を行って診断し、確定させます。