関節造影

病変部の診断に使われている検査であり、関節部を明確に浮かび上がらせるため、造影剤を用います。これは関節部のX線単純撮影のみで、閉鎖された関節腔の様子が確認できないからであり、関節腔が閉鎖されているのは関節包や靭帯、関節軟骨といったものに覆われているためです。関節造影(かんせつぞうえい)の検査は多くの関節疾患の診断に有用であり、対象部位は手や足、肩、股、肘などの関節となります。一般的には、造影剤を関節腔に注入してから更に空気を入れます。そしてX線撮影が行われますが、これを二重造影法と言います。これによって造影剤が関節細胞の表層にくっつくため、空気が周囲に入って、画像が立体的になります。

痛みを伴うため、局所麻酔を施しますが、それをしないケースもあります。検査が終わっても造影剤を取り除きませんが、二重造影法で入れた空気は抜き去ります。造影剤は残っていても体へ悪影響を及ぼすことは無く、それが残っていても自然吸収されて消失します。検査の対象が膝であっても終了すれば歩行可能です。ただ、なるべく安静にした方がいいのは言うまでもありません。また、関節の違和感や圧迫感を残存させるケースも見られますが、通常一日も経過すれば治りますので、特に問題となることはありません。

診断可能な疾患は離脱性骨軟骨炎や骨端線離開(こつたんせんりかい)、軟骨損傷、靭帯損傷、半月板損傷などです。ただ、当該検査で診断を下せないケースもありますので、その場合、詳細に調べるために関節鏡やMRI検査などが引き続いて行われます。