体の中に放射性同位元素を投与して放射線被爆を減少させた検査を肝シンチグラフィーといい、別名では核医学検査若しくはRI検査と呼ばれています。RIは放射性同位元素のことで、これが対象臓器に取り入れられた際に発する放射線をシンチカメラで捉えます。RIの分布の情報を得て、これを画像処理して、臓器及び組織の働きやその形態を検査します。RIを注入してから一時間半まで撮影し、黄疸が重篤なケースでは、六時間後と一日後にこれを行うことがあります。RIは肝細胞に取り入れられますが、細胆管、肝内胆管、胆嚢、総胆管、十二指腸を通過して排出され、肝臓、胆道におけるその形状と作用のデータを共に確認できるため、疾患の診断に有用となります。中でもアルコール性肝障害やある特定の肝臓癌を見つけるのに有用です。また、ケロイド状の凝固が炎症の回復によって生じる肝硬変及び慢性肝炎といった疾患では、その形状の変化が鮮明に確認できます。断層シンチグラフィーの一つであるSPECTも体内のRI分布をあらゆる角度から調べるもので、X線CTによって断層像として捉えることができます。一般にSPECTの方がより精度が高いとされています。
検査の際は食事制限があり、当日の食事は禁忌となります。また、長時間を要するため、安静維持もそれだけ長くなります。
異常が出た場合、肝硬変や慢性肝炎、先天性胆道閉鎖症、肝臓癌、黄疸、急性胆嚢炎、アルコール性肝障害などが考えられます。当該検査はこのうち先天性胆道閉鎖症や肝硬変、慢性肝炎、急性胆嚢炎、肝臓癌などの診断に役立ちます。また、ウイルス性肝障害とアルコール性肝障害を区別したり、閉塞性黄疸や肝実質性黄疸の区別にも役立ちます。