肝臓で蛋白質が処理された結果発生する物質であり、体の中でエネルギーとして利用された蛋白質の老廃物が尿素窒素(BUN)です。二酸化炭素とアンモニアはアミノ酸から生成されますが、これが基礎になって肝臓で生成されます。血中の尿素に含有される窒素分であり、生理学的な観点からは尿素と同一です。残余窒素(ざんよちっそ)は蛋白質を血清成分から除外したものを指していて、この内大半は尿素窒素で形成されています。何らかの原因で腎臓の働きが落ちると、尿中に有害物質を混ぜて排出することができなくなります。このため、血中にその有害物質が増加してしまいます。血清尿素窒素(けっせいにょうそちっそ)は腎機能に異常がないかどうかを判定する検査です。とは言うものの当該検査は軽い腎機能低下の発見にはあまり役立ちません。これは腎臓が本来持つ能力の四分の一程度にまで機能が低下しないと、顕著なBUN上昇が確認できないためです。
異常値とされるのは高値と低値の両方です。前者では腎不全をはじめ糖尿病や閉塞性尿路疾患、高蛋白食摂取、脱水などがあります。後者では低蛋白食摂取や肝不全などがあります。また、上昇してしまうケースでは、過剰な尿素窒素の生成が原因になる場合と、その排泄障害に由来する場合とがあります。過剰な尿素窒素が作られてしまう場合、消化管出血や感染症、甲状腺機能亢進症、糖尿病、癌などが考えられます。一方、排泄障害を原因にする場合、腎機能をはじめ閉塞性尿路疾患や慢性腎炎、浮腫、脱水などが疑われます。
異常値と判定された場合、その原因を明確にさせます。疾患が確定すれば、その治療を行います。