脂肪酸から生成される物質であり、肝臓にて作られています。この物質は糖が不足したり、糖を消費するのに組織で障害が発生した際に出現します。種類は三つに分類され、酸性3-ヒドロキシン酪酸(3-OHBA)、アセト酢酸(AcAc)、アセトンとなります。アセトンには臭気があり、甘酸っぱくなっています。息として出てきやすいのですが、これは不安定で揮発性を有するためです。各臓器にはケトン体を使う酵素が存在していますが、脳や肝臓には認められません。しかし、骨格筋や心筋などのエネルギー源として非常に大切な物質です。また、脳も長期間に渡って食事をしないなど、特別な環境下ではケトン体を使うこともありますが、通常はブドウ糖に限定してそれをエネルギー源としています。このケトン体は糖尿病を発症している際にも見られますが、これはエネルギーとして糖が使われにくくなったために脂肪酸が分解されることに由来します。その結果ケトン体が増加して行くことになりますが、この物質が増えすぎると今度は組織がそれに対処できなくなり、様々な障害を招きます。ただ、増えすぎたケトン体は通常、尿内に含まれて体の外に出て行きます。
当該検査は糖尿病の診断だけでなく、血糖状態や食事の状況を確認するのにも有用です。検査では新鮮尿を使った定性試験が行われます。採血は食後二時間たった時と空腹時になります。しかし、ケトン体は健康であっても微量に存在しており、運動を極端に行った際にも増える傾向にあります。こういったケースは正常であり、疾患とはなりません。
異常値が出た場合、糖尿病、ケトアシドーシス、糖原病、ケトーシス、周期性嘔吐症、高脂肪食、低カロリー食、飢餓、ストレス、発熱などが考えられます。糖尿病治療を行っているのに陽性を示したケースは、血糖コントロールがうまく行っていないことを意味します。そのため、生活習慣などの改善が求められます。それ以外は最初に尿中ケトン体を調べて、問題があれば次に血中ケトン体を確認します。