胸水穿刺

僅かに含有される胸膜腔内の液体成分のことを胸水と言いますが、この液体は生理的に欠かせないものです。しかし、時に障害が胸膜や肺など胸部臓器に発生すると、異常に増えてくることがあります。胸水穿刺(きょうすいせんし)は、この液体成分を部分的に取り出して検査するもので、別名では胸腔穿刺(きょうくうせんし)とも呼ばれています。また、増加した胸水の存在はX線CT、胸部超音波、胸部X線単純撮影などの検査でも確認できます。液体成分を採取する際は、注射針を肌を経由して刺す、経皮的穿刺という手法が用いられます。更に局所麻酔が穿刺を行う前に施され、当該検査の対象となる箇所は肋骨間となります。一般におよそ100cc程度の液体が採取されて、数十分で終了しますが、多量の胸水が認められるケースではやや時間を要します。これは身体への影響を考慮されるためで、負荷を与えないように時間をかけて採取することになります。穿刺して採取が終われば、胸水が漏れ出すのを防止するため少しの間その場所の圧迫を要します。

異常が出た場合、肝硬変や肺炎、心不全、胸膜炎、肺癌などが疑われます。通常、漏出性と滲出性の二つに異常が分類され、前者では肝硬変や心不全が疑われます。後者では肺癌や肺炎、胸膜炎が考えられます。癌が予測されるケースでは細胞診が実施されますが、これは臓器組織の剥離した細胞が胸水に含有されるためです。