リン酸を分解する酵素のことであり、これを安静の環境のもとで行うものを言います。体のあらゆる細胞若しくは組織に存在していますが、その存在場所によって酸性フォスファターゼ(ACP)の特徴が見られます。前立腺フォスファターゼ(PAP)は前立腺の細胞に含有されている酵素ですが、この物質は何らかの障害が前立腺に発生した際、血中に増加します。このことからPAPの増加は前立腺癌の発見に有用です。
キンドキング法、ベッシーローリー法といった検査方法があり、それぞれ基準値が異なります。PAP-RIA(免疫学的測定法)はPAPを調べるラジオイムノアッセイと言われているもので、その基準値はおよそ3ng/ml以下となります。キンドキング法ではPAPの基準値が0から0.6KA単位となっており、ACPは1から4KA単位となります。ベッシーローリー法のPAPの基準値は0から0.2BL単位となっており、ACPは0から0.8BLとなります。
前立腺癌の確率はPAP-RIAの値が3から5ng/mlのケースで高くなりますが、別の癌や前立腺肥大症などであることもあります。また、この値が高ければ高いほど、癌の確率も上昇します。骨に対する癌転移は、この値が10ng/ml以上になると高確率で疑われます。一方、ACPの高値は男性で前立腺癌が高確率で推測されますが、他にも、前立腺肥大やホジキン病、骨への悪性腫瘍転移、白血病、骨肉腫、血小板減少症、肝硬変、肝癌なども疑われます。異常値が出た場合、内視鏡検査やX線検査、血液生化学検査、病理学的検査などの結果を総合的に併用して、原因疾患を診断します。