聴力

最初は聞こえない程度の音をレシーバーから流します。段階的に大きくしていきますが、通常5dBずつプラスされ、一番初めに聞こえた時の聴力(ちょうりょく)を特定します。耳は、外側から耳介(じかい)、外耳道、耳小骨、鼓膜、三半規管、蝸牛管と順番に並んでおり、一番奥に聴神経が存在しています。耳介では、周囲での音を集め、外耳道では音波に音を変換して伝達させていきます。最終的には聴神経を伝わって脳へ音が伝達していきます。聴力検査は伝音難聴(でんおんなんちょう)や感音難聴(かんおんなんちょう)の存在を確認するものです。前者は外耳より耳小骨の辺りに問題があれば発症するもので、中耳炎などが原因となります。後者は内耳から脳の部分で問題があれば発症するもので、聴神経腫瘍や耳下腺炎、先天性難聴、ウイルス感染症などが原因となります。

聴力はデシベル(dB)という単位が用いられ、この値が100以上であれば完全に会話が聞こえなくなります。全聾(ぜんろう)と呼ばれているのがこの段階であり、90から100までの範囲が社会的聾となります。この段階では大声で話すとかろうじて聴こえます。その下に高度(70~90)、中等度(50~70)、軽度(30~50)という順に聴力障害の度合いが分けられています。

通常、難聴の診断には気導聴力検査が実施され、騒音環境を避けて外部の音を遮断します。この検査の平均値は個人差があるもののマイナス10からプラス20の範囲になっており、年齢と共にこの値も高くなっていきます。聴力はデシベルの値が高いほど悪くなっていることを示しますが、異常なしとされるのはプラス30デシベルまでと言われています。これを超えると軽い難聴と診断されます。尚、診断は五音聴力検査、骨導聴力検査、ティンパノメトリー検査といったもので確定されます。五音聴力検査は、言葉の聞き取れる度合いを測定するもので、骨導聴力検査は内耳が正常であるかどうかを確認するものです。ティンパノメトリー検査は中耳において圧力を確認するものです。