食物として体内に入ると、小腸で吸収されてリポ蛋白と結合します。すると中性脂肪(ちゅうせいしぼう)はカイロミクロンへと変化し、これが血中に流入します。ここで各組織へエネルギーを運んだり、蓄えたりします。脂肪の一つである中性脂肪は体内でエネルギーとして利用されますが、不要となったものは皮下脂肪として蓄積されていきます。また、皮下脂肪のほとんどは中性脂肪で構成されています。この物質はトリグリセライドのことであり、略してTGとも呼ばれています。体内に存在する脂質は四つに分類されますが、その一つはこの物質です。その他遊離脂肪酸、コレステロール、リン脂質と呼ばれるものもありますが、食物として体内に入ってくるものはほぼこの成分となります。中性脂肪はグリセロールと脂肪酸が三つ結びついたものです。日本人ではおよそ70グラム程度、毎日摂取していると言われています。血中において過剰になると、動脈硬化に関わる病気の危険因子となりますが、これはコレステロールも同じです。
基準値は150mg/dl未満ですが、この検査は絶食を12時間以上行い、空腹時である早朝に測定します。これは食事してからおよそ三十分程度から上がりだし、5時間前後でピークになり、その後10時間で元の状態に回復するためです。ただ、副腎皮質ホルモン薬などを用いていても高値を示します。また、測定は一回のみより何回か行うことが推奨されています。その他、この数値は代謝が低下する冬には低値を示し、夏には高値を示す傾向にあります。女性では男性より高齢で高値を示す傾向もあります。
異常と判定された場合、低値では低栄養のほか、肝臓病や甲状腺機能亢進症が考えられます。高値では高脂血症のほか、アルコール性肝障害や糖尿病、クッシング症候群、肥満、甲状腺機能低下症などが疑われます。脂質は四つに分類されますが、いずれも基準値を逸脱すると高脂血症となります。しかし、コレステロールと中性脂肪に重点を置くのが一般的です。異常値が出た場合、食事療法と運動療法が中心になります。