脳及び脊髄を守る働きや神経系から排出された老廃物を取り除く作用が髄液にはあります。この液体の量は僅かですが、脳や脊髄の周りに存在しています。脳炎や髄膜炎などを診断するのに有用であり、検査対象となるのは髄液に含まれる蛋白質や糖、その色調や細胞数などとなります。髄液は健康であれば、ほぼ透明で水のようになっています。脳と結びついている脊髄を取り囲んでいる液体ですが、ウイルス感染や脳出血などによって変化を生じます。髄液検査(ずいえきけんさ)は別名で腰椎穿刺(ようついせんし)と呼ばれていますが、これは通常、注射針を第三腰椎と第四腰椎の間に穿刺するためです。つまり、ベッドに患者を横に寝かせ、腰部に位置するくも膜下腔に穿刺して髄液を採取します。局所麻酔を行うため、やや痛みを生じますが、穿刺する前に消毒してこれを行います。
異常が出た場合、考えられる疾患としてはくも膜下出血、脊髄腫瘍、脳炎、髄膜炎などです。髄液が水様透明なら正常ですが、鮮紅色になるとくも膜下出血が考えられます。蛋白質が増えていると脳炎や脊髄腫瘍などが疑われます。培養検査で陰性(-)なら正常ですが、陽性が出たら細菌感染を招いている可能性があります。細胞数が増えている場合、髄膜炎が予測されます。糖が高くなっていると脳炎及びウイルス性髄膜炎が推測され、反対に低くなっていると細菌性髄膜炎が疑われます。また、白血球の増加は化膿性髄膜炎で見られ、単核球の増加はウイルス性髄膜炎で認められます。LDH値の高値は癌性髄膜炎で認められます。
尚、当該検査はCTでは確認できないくも膜下出血なども微量な潜血から判定することが可能で、診断の手がかりとなります。