上大静脈閉塞症候群

症状

上大静脈閉塞症候群(じょうだいじょうみゃくへいそくしょうこうぐん)では顔面腫脹、頭部緊満、呼吸困難などのほか、上肢腫脹、嚥下困難、胸の痛み、咳などの症状を示します。進行は緩慢であり、体位によってチアノーゼや顔面浮腫、頸部血管怒張、胸壁血管怒張などが強まります。

原因

上半身末梢より右心房にかけ、上大静脈を主軸とした静脈血還流の障害を原因とする症候群を言います。上大静脈は左右腕頭静脈が合流して形成されており、これが右房に達します。大血管であるものの、その壁は薄く、低圧になっています。数センチ程度の長さを有した欠陥ですが、圧迫を外側から受けやすくなっています。この血管が一部若しくは全部閉塞されると側副循環が生成されますが、奇静脈が問題となります。また皮下静脈における血管怒張も本症ではよく見られます。多くは原発性肺癌が縦隔へ及ぶこと、腫大が縦隔リンパ節転移巣に生じることが原因となります。

治療法

悪性腫瘍が原因とされるケースではその縮小を意図して化学療法及び放射線療法が併用されます。良性腫瘍に起因するものでは腫瘍摘除術、また血栓に起因するものでは血栓摘除術、バイパス術などが適用されます。更に閉塞部位にステント留置を行い、これによって血流を維持する経皮経管的カテーテル治療法が実施されることもあります。また血栓を防いだりその進行を抑制させるため、ヘパリンやウロキナーゼ、抗凝固薬などが用いられます。その他、一般的な措置としては利尿薬や酸素投与のほか、塩分の摂取をコントロールしたり、頭部挙上などがあります。