症状
脊髄硬膜外膿瘍(せきずいこうまくがいのうよう)の初期段階では高度の背部痛が見られます。また発熱や頭痛、倦怠感、項部硬直などの症状を示すこともあります。対麻痺や感覚障害、排尿障害、排便障害などは数時間で出現しますが、それ以上経過した後に示すこともあります。ただし、慢性のケースでは、対麻痺などの脊髄圧迫症状に限定されます。尚、本症の膿の蓄積はもともと違う所で発生した感染に起因するものであることから、最初の感染場所は見逃される傾向にあります。
原因
膿が脊椎管内硬膜外に蓄積することが原因であり、これによって脊髄及び脊髄根障害を引き起こす病気を脊髄硬膜外膿瘍といいます。非常に多いとされるのが、癰(よう)や褥瘡、そして腎周囲膿瘍などが飛び火した炎症に起因する膿瘍です。また他の器官に発生したものが血液を介して転移したものや腰椎穿刺、脊髄手術などに起因するものもあります。そして炎症を引き起こす原因菌の多くは黄色ブドウ球菌であり、他には溶血性連鎖球菌、グラム陰性菌、嫌気性菌、大腸菌といったものがあげられます。
治療法
背部痛と共に神経症状が軽度であれば、抗生物質の投与による治療方法がとられ、経過観察となります。通常は抗生物質の投与後に椎弓切除術を行います。抗生物質は炎症を引き起こしている原因菌に有効なものを選択し、手術の際には抗生物質を使って感染部を洗浄します。脊髄硬膜外膿瘍では死に至るケースもあります。麻痺などの神経症状が二日以上継続した場合、その後遺症として麻痺を残存させてしまうこともあります。