症状
脊髄血腫(せきずいけっしゅ)では、圧痛及び痛みが血液の蓄積された場所において発生します。また障害を受けた神経の程度によって感覚消失及び下位脱力を出現させます。脱力に関しては放置しても時間の経過と共に回復するケースも見られますが、多くは数分ないし数時間で麻痺が悪化していきます。外傷及びそれに伴う血腫が脊髄上部において生じると呼吸障害をきたしますが、これは横隔膜へ連結している神経がこの部分から発していることに起因します。動静脈奇形が脊髄付近に生じてそれが破裂をきたすと首周囲における硬直及び頭痛を発生させますが、こちらは脳内へ血液が流入することに由来します。
原因
腫瘍をはじめ、出血性の病気、動静脈奇形、背部における外傷、そして抗凝固薬の投与などが原因とされており、これによって脊髄周囲において血液が蓄積していきます。外側の脊髄において血腫から圧迫を受けるケースはあまりなく、ほとんどが脊髄内部において血腫が発生し、圧迫を受けます。またその多くが外傷を原因としています。
治療法
外科的に蓄積された血液をすぐに排出します。これは将来にわたって生じる脊髄の損傷を予防する目的で実施されます。また損傷が脊髄の上側において見られるケースでは人工呼吸器が多く利用されますが、これは呼吸を継続させるために必要な措置となります。更に顕微手術が動静脈奇形に対して適用されます。その他、出血傾向を示す出血性疾患が認められる方や抗凝固薬の投与が行われている方などは、血漿輸血或いはビタミンKの注射も行われます。これは出血を抑える目的で行われる治療方法となります。