心房中隔欠損症

症状

小児期においては自覚症状を示しません。二十歳以降から徐々に出現し出しますが、三十歳以前では、あまりこれといった症状を示しません。軽い症状では、動悸、疲労感、呼吸困難などがあり、症状が重くなると失神、頭痛、胸痛、うっ血性心不全といった症状を示します。また三十歳を超えると、不整脈、肝腫大、浮腫、呼吸困難といった症状が過労や妊娠、呼吸器感染などに起因して引き起こされます。心房粗動や心房細動といった不整脈は、若年層ではあまり見られませんが、四十歳を超える頃から増加傾向にあります。心房中隔欠損症(しんぼうちゅうかくけっそんしょう)に起因して死亡する例では、そのほとんどがうっ血性心不全となり、その合併症を引き起こす確率も加齢と共に増加していきます。また、合併症では脳膿瘍、肺動脈破裂、肺塞栓、肺血栓、肺炎といったものがありますが、いずれも心房中隔欠損症に起因する合併症の死亡原因となります。診断はX線像、心電図、心エコー図にて行いますが、手術を実施する際はカテーテル検査を行います。

原因

心房中隔卵円孔部に楕円形から円形の欠損孔が原因となります。先天性心疾患の内、成人の例で多いのは静脈洞型心房中隔欠損症と言われるものであり、欠損孔が下大静脈或いは上大静脈に接触する箇所にて見られます。

治療法

心臓を一時停止させ、内部を切開して孔を縫合します。手術は早期にすることが推奨されていて、これは手術のリスクが低く、加齢に伴って術後の心不全及び不整脈といった症状が残ってしまう可能性が上昇してしまうためです。通常、薬物療法では利尿薬やジギタリスなどが用いられ、呼吸器感染及び心不全の治療を行います。手術では右房の切開を行い、欠損孔を閉じますが、その際人工心肺を使います。心房中隔欠損症は自然に閉じられることはありません。手術は二十歳を経過する前に行うのが最適とされています。尚、カテーテルの利用で孔を閉じる手術もあります。